企業のWebお問い合わせ対応などには自動で対応してくれる「チャットボット」を導入している中小企業などもあり、事業の円滑化や人件費の削減といったさまざまな効果があります。
ただ、チャットボットの普及はそれほど広まっているものではなく、ほとんどの企業では電話オペレーターによる対応かメールでの返信になっているのが現状です。
そこでこちらでは、チャットボットを導入しようと考えている中小企業やWeb担当者に向けてチャットボットの効果について詳しく紹介していきます。
また、チャットボットを導入することでのデメリットや実際にチャットボットを導入した事例をいくつか紹介していきます。
チャットボットについて、まずはしっかりと理解しよう!
チャットボットとは「チャット(対話)」と「ロボット」を掛け合わせた造語で、AIなどの技術を活用して人間と実際にチャットしているかのように対応してくれる「全自動型の対話システム」のことを言います。
世界で初めてチャットボットが出現したのは1966年と意外と歴史は古く、「ELIZA(イライザ)」という名前が付けられています。
本格的にチャットボットが普及し始めたのは2016年と言われていて、「チャットボット元年」といった様なことで多くのメディアなどでも取り上げられています。
そのチャットボットはいくつかの種類があり、以下の4つのタイプのものがあります。
・シナリオに沿って対応する「シナリオ型・選択型」
・単語を登録することで質問内容を読み取る「辞書型」
・過去の会話の内容などから自然な会話をする「ログ型」
・積極的な相槌や変動をすることが得意な「ELIZA(イライザ型」
このようにチャットボットと言ってもいくつかの種類があり、大きく分けると「シナリオ型・選択型」「辞書型」「ログ型」「ELIZA(イライザ型」といった4つのチャットボットの種類があります。
どの種類のチャットボットを導入するのかは、自社の事業内容や扱いやすさ管理のしやすさなどによって変わっていきます。
続いてチャットボットの効果を見ていきましょう。
チャットボットの効果とは?
チャットボットは自社のWebサイトなどに設置することでお客様対応を自動で行ってくれるものですが、具体的な効果というものではどのようなものがあるのでしょうか?
・省人化によって人件費を大きく削減することができる
中小企業などでは委託の電話オペレーターや自社の事務員によってお客様対応をしていることが多く、それだとやはり人件費などのコストが掛かってしまいます。
また、自社での電話対応になると人員を複数必要としてしまうので、本業の方にも人件費を回すことができなくなってしまいます。
そのような時にチャットボットを導入することで簡単なお客様対応などは全て自動で行ってくれるので省人化することができ、最終的には人件費を大きく削減することができます。
その他にも、電話対応の人員を他の部署などに回すことができるので、事業の円滑化を図ることもできます。
特に個人事業主などでは一人の人間がいくつかの業務を掛け持ちしているケースが多く、チャットボットを導入することで頻雑なお客様対応からも解放されます。
・感情的なものに左右されずに対応できる
チャットボットはどのような場合でも安定した受けことすることができるので、人間とは違い感情に左右されることなく様々なユーザーに対応することができます。
特にクレーマーと呼ばれる自社に対しての不満をあらわにするユーザーに対してもチャットボットの効果は高く、暴言や誹謗中傷などが書かれている内容のメッセージなどであっても感情に左右されることがありません。
また、人間によるお客様対応では人によっては誤った情報や返答をしてしまう場合がありますが、チャットボットであれば正確な情報によって間違えることなく受け答えすることも可能となっています。
・問い合わせ内容をデータベースに蓄積することが容易にできる
お客様対応はユーザーとのコミュニケーションの場所でもあり、問い合わせの内容やクレームといったものは企業にとってはある意味では大切な資産でもあります。
そのため、お客様対応の内容やユーザーの意見などは出来るだけ控えて置きデータベースにしておく企業が多いですが、チャットボットを導入すればそれらのデータベース化を容易に行うことができます。
チャットボット自体が様々なデータベースと直接繋がっているため、お問い合わせ内容ごとによって区分化することができ、さらにそれらのお問い合わせデータを容易にピックアップすることでマーケティングなどにも俊敏に生かすことができます。
・自社サイトの訪問履歴やユーザー層などを分析してくれる
チャットボットの種類によっては、自社サイトの訪問履歴やユーザー層などを自動で分析してくれものあります。
例えばシナリオ型チャットボットの場合では、お問い合わせのシナリオの流れや選択内容などをグラフ化してくるので、視覚的にチャットボットに対するお問い合わせの傾向などを瞬時に認識することができます。
これらのグラフ化や分析もチャットボットが自動で処理を行ってくれるので、マーケティングの円滑化にもチャットボットを有効的に使用することができます。
・ユーザーにとっても手軽に問い合わせすることができる
チャットボットを導入することで、ユーザーにとっても手軽にお問い合わせをすることができます。
電話などではオペレーターに繋がるまでに時間が掛かってしまったり、フリーダイヤルでなければ電話の通信料金などが発生してしまいます。
また、メールなども返信が来るまでに時間が掛かってしまいます。
一方、チャットボットであれば質問したい内容を入力するだけで瞬時に答えを知ることができるので、企業にとってもユーザーにとってもチャットボットは大きな効果を生む出すツールと言えます。
効果はわかったけど、チャットボットにデメリットはあるの?
ここまでチャットボットの様々な効果をピックアップしていきましたが、チャットボットにはデメリットといったものはないのでしょうか?
いくつかデメリットがあるので、チャットボットを導入することでのデメリットを見ていきましょう。
・コストが掛かる
チャットボットを導入することによって人件費を大きく削減することができますが、チャットボット自体にコストが全く掛からない訳ではありません。
人件費よりは遥かにコストを抑えることができますが、初期費用や月々のコストなどは発生してしまいます。
・高度なチャットボットだと扱いきれない
チャットボットを導入してみたものの、あまりにも複雑なシステムがある故に管理する側が扱いきれないというケースもあります。
そのためチャットボットを導入する際にはあまり難しいタイプのものではなく、シナリオ型や選択型といったPCの操作などにあまり得意でない人でも簡単に設置して扱うことができるチャットボットを導入する方がいいでしょう。
・設置するまでには時間が掛かる
チャットボットを提供先から購入したとしても、すぐに自社のホームページに設置できるというものではありません。
チャットボットを設置するまでには、問い合わせ内容のシナリオや選択肢などを制作しなければなりません。
また、ログ型のチャットボットもAIに問い合わせ内容を覚えさせなければいけないので、実用化までにはある程度の時間を必要とすることもチャットボットのデメリットになってしまいます。
チャットボットの効果を探る。導入事例
最後にチャットボットを自社サイトに導入した企業の事例を紹介します。
・森永製菓株式会社
菓子メーカーの森永製菓株式会社は、「おかしプリント」という自分の好きなデザインをお菓子にプリントできるというサービスを提供しています。
その際にチャットボットを導入したことで「おかしプリント」に対しての小さなお問い合わせまでも拾うことができて、普段のお問い合わせよりも4倍ほど多くキャッチすることができたという事例があります。
さらにユーザーごとの訪問回数なども細かく見ることができたことで、次なくサービスの提供にも活かすことができています。
・三井住友銀行
金融機関の三井住友銀行では、行内向けのチャットボットを導入したことで業務の円滑化を実現しています。
チャットボットを導入する前までは、行員の疑問点や分からないことなどは各担当まで直接聞きに行っていて、行員に対しては時間と労力に大きな負担になっていました。
しかし、チャットボットを導入してからは行員の知りたい情報をすぐにピックアップすることができるようになったので、行員の負担だけでなく顧客の待ち時間などにも大きく軽減できるようになっています。
・SHIBUYA109
SHIBUYA109は東京都渋谷区にある若者に人気のブランドを数多く取り揃えているファッションビルということで有名ですが、スマホアプリのLINEをプラットフォームにしているチャットボットの「WazzUp !」を導入しています。
WazzUp !を導入したことでLINE配信を自動で行ってくれて、さらにSHIBUYA109の公式ホームページから自動で商品情報を読み込み登録してくれるので、面倒な商品の登録作業などの時間を大幅に削減することができています。
チャットボットなのでLINEからの注文も全て自動対応によって決算することができ、顧客の知りたい情報などにも瞬時に対応することを可能にしました。
■チャットボットの効果のまとめ
チャットボットの効果と導入事例などを紹介していきましたが、チャットボットを導入することで大幅に作業の円滑化と省人化による人件費などのコストを削減することができます。
今では様々なタイプのチャットボットがあるので、自社の業種などに合ったチャットボットなどを導入することでさらなる効果を期待することができます。
AIの技術はまだまだ進化を続けていくと見られているので、いち早くチャットボットの様なAIの技術を取り入れることが一歩先行く企業への近道へとなっていきます。
参考サイトURL
https://ai.userlocal.jp/document/explain/
https://www.chatdealer.jp/yomimono/2018/chatbot.php
https://marketingnative.jp/chatbot-and-its-impact/
https://ledge.ai/chatbot_example/
https://hitobo.io/blog/use-cases-of-chatbots/
https://chatplus.jp/blog/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88/customers/