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フリーランス歴19年のベテランが語る”働いたら負け理論”〜前編〜
今回はフリーランスエンジニア歴19年を誇る大ベテラン、伊与田さんにお話を伺った。長い間フリーランスとして生き抜いてこられた方なので、さぞかし意識の高いお話を伺うことになるのだろうと考えていたが、インタビュー冒頭、「私、基本的に働きたくないんです」という衝撃の発言が。そして彼は「働いたら負けだ」と続けた。本記事では、労働効率を一番に考え、成功を収めてきた伊与田さんの頭の中を覗き、フリーランスとして長く生き残るためのスタンスを考えていきたい。
まず経歴からお伺いしてもよろしいでしょうか?
1社目は誰もが知るような大手通信会社に入社しました。その後、すぐに退職をし、4社ほど経験して25歳になる年にフリーランスとして独立しました。現在、フリーランスエンジニア歴は19年になります。
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最初の大手通信会社を辞めるとき、フリーランスになることを視野に入れていましたか?
フリーランスを意識していたわけではないですね。
入社前から知っていた優秀なプログラマの知り合いがいたのですが、このまま会社に残ると置いていかれる…という危機感を感じるようになったので、退職を決めました。
1社目はいわゆる大手企業。同期も1000人以上いました。現場ですぐに手を動かすというよりは、座学でゆっくり研修し、じっくり育ててもらってから現場にでるという感じだったんです。
たとえば書類なども提出後の待ち時間が長かったり、仕事中に暇だと感じることさえありました。友人に大手に入社して腐っていると伝えると、それなら「うちの会社くる?」と声をかけてもらい、転職しました。
そこから、フリーランスになろうと思ったきっかけは?
当時、副業ができる状態だったので、勤めながら副業をしていたんですね。数社から仕事をいただいていて、週末に案件をこなしていました。そうするうちに「伊与田さんが副業でなく、フリーランスとして仕事を請けてくれると助かる」という風に言っていただけるようになってきたんです。
自分からフリーランスになりたいと思ったわけではなく、「要望があるなら、やってみようか」という感じでフリーランスへの転身を決めました。
逆に、うちの会社にこないかとオファーをいただくこともありますが、サラリーマン時代のことはもう昔のことで思い出せないですね(笑)
会社からオファーをもらっても、やっぱりフリーランスのほうが良いと思う理由は?
はっきり言ってしまうと、私、働きたくないんですよ(笑) でも、働かないとゴハンが食べられなくて死ぬ仕組みに世の中がなっているんで、労働効率を上げていきたいと常々思ってるんです。
となると、会社の従業員でいるのは難しい。会社に属すると、休日や労働時間に縛りがあったりするので、休みたいときに休めない、休んでいるときに周りの目が気になるなど、利害関係が一致しないんですよね。
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働きたくないと言い切れるのは、すごいですね。
理想はそう、働きたくない。家でゴロゴロ寝ている時間も大事ですし。会社員時代は有給を食いつぶして、減給されるくらいでした。でも、お金は好きなんです。
だから、フリーランスとして働いては休みを繰り返すんですが、休みをとってゴロゴロしている間にお金が減っていき、将来への不安が先立ってくるので、自然と「よし、働くぞ」という気持ちになるんですよね。
フリーランスとして仕事が来ない期間があれば、「なぜ仕事が来ないのか」「この技術ができないから仕事が減っているのか」「じゃあ学ぶか」という感じで、生きていくために自然とキャリアプランについて考えなきゃいけなくなるのも、自分には向いています。
仕事をしていない間が振り返りの時間になっているんですね。では、お仕事探しの方法は?
基本的には知人の紹介で仕事をもらっています。最近は社長をやっている知り合いも増えてきているので、その紹介でいただいたり、社長が出資している会社の手伝いをしたり、市場に求人として出て来ないような案件がほとんどです。
紹介会社を使ったこともあるんですけど、私とマッチしないことを確認して帰ってくることがほとんど。求人になっているものって、すでにクライアントがやってほしいことを決めていて、それに対して報酬が支払われるじゃないですか。
でも、実際蓋を開けてみると、それをするためにはまずこれを自動化したほうがいいとか、こっちを先にやったほうがいいとか出てくるんです。
そうすると、結局、自分たちでセールスしなければならないんですよね。しかも、それを引き継げる後任を見つけるのがまた大変になるので、派遣会社や紹介会社との相性は最悪なんですよ。
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そうすると、”仕事を探している”というよりも”自然と仕事がくる”という感じですか?
ん~そうですね。私が重視しているのはリピート率で、仕事が自然とくるように心がけているという部分はありますかね。再受注していただけるように仕事をする。一度お仕事をさせていただいた企業から再度仕事の依頼が来ないと負けだと思ってます。
なので、仕事をもらっている社長さんや営業担当の人とゴハンにいくことも多いですし、そのときに「◯年前に作ったあのシステムどうですか?」とか「あのプロジェクトはどうなりましたか?」とか、自分が携わった部分の話だけでなく、プロジェクト全体で見てどうだったのかなどを含め、確認するようにしています。
結果的にお客さんが儲かってないとフリーランスに仕事がくるはずもないので、携わった企業の決算などもしっかり確認をするようにしています。
自分の仕事スタイルとライフスタイルを理解して、独自のフリーランスとしての働き方を確立されている姿が印象的でした。また、働きたくないという言葉とは裏腹に、良い提案をするために紹介会社を使わない、リピート率を指標にしているという点から、クライアントへのコミットが垣間見えました。後編では、どのようにクライアントと向き合って良い関係を築いているのか等について、お話を伺っていきます。
伊与田 陸(ATSUSHI IYODA)
Profile : 高等専門学校卒業後、大手通信会社に入社。大手特有の就業環境に周囲に置いていかれる危機感を覚え、早期に退職。小規模なSIerに転職し、エンジニアとして多くの現場経験を積んだうえで、25歳でフリーランスに転身。今年でフリーランス歴19年を迎える。
twitter:https://twitter.com/iyoda